AWG(Atmospheric Water Generator、大気水生成装置)を開発・製造するメーカーは、主にアメリカ、カナダ、韓国、中国、インド、イスラエルといった国々に集中しています。現時点では、冷媒式が市場の9割以上を占めており、特に高温多湿な気候で水を生成できる冷媒式AWGは、赤道付近の熱帯や亜熱帯地域で多く使用されています。
一方で、2010年代に入ってからは、湿度の低い環境でも水を作り出すことが可能な「吸着式AWG」の開発が進み始めました。吸着式では、異なる吸着材を用いることで水の吸着効率を高められることが特徴で、アメリカと日本がそれぞれ先進的な吸着材を開発し、この分野をリードしています。2020年代に入ると、吸着式AWGの開発に取り組む企業が増加しましたが、製品として市場に投入しているのは現在のところアメリカと日本の企業に限られています。
冷媒式AWGは高温高湿環境において効果を発揮する一方で、乾燥した環境下では十分に水を生成できないという技術的な課題があるため、一部では「矛盾した技術」とも評されてきました。しかし、吸着式AWG技術が今後さらに進展すれば、乾燥地帯や水不足に悩む地域でも使用できる可能性が広がり、社会的なニーズに応えることが期待されています。
また、クリーンエネルギー技術の発展もAWGの普及に追い風となるでしょう。太陽光発電や水素エネルギーを利用することで、AWGの最大の課題である消費電力の問題が解決されれば、エネルギー効率の高いAWGの導入が世界中で加速すると考えられています。特に、気候変動や水資源の枯渇が懸念される現代において、環境負荷が低く持続可能な水供給手段としてのAWGの重要性がますます高まっています。